摂食障害の患者さんは、体型や体重に対する歪んだ認知だけでなく、自己評価の低さ、無力感、抑うつなどを伴っていることが多いといわれています。そのため、同じ病気をもつもので悩みを共有し支え合う体験は重要です。また、具体的な対人場面を「いま、ここで」とりあげ、フィードバックすることが治療的に働きます。
グループ療法の利点
患者さん相互の支え合いも含めて、治療グループ全体が患者さんを抱える環境になります。他メンバーの問題と照らし合わせることで、自分の問題にも客観的に向き合うことができます。また、相互に意見をかわすことで言語化が促進されたり、他者に受容されることで自己評価の高まりが期待できます。
様々なグループ療法
摂食障害のグループ療法は、認知行動療法、対人関係療法、力動的、心理教育的、短期集中的グループ療法、セルフヘルプグループなどがあります。特に過食症に対する集団認知行動療法は最も多く用いられており、またその効果も実証されています。
グループの構造について
メンバーは7~8人のグループが一般的です。対象者については、過食症に限定した方がよいという考え方と、過食も拒食も元となる病理は同じなので同じグループでもよいという考え方があります。年齢、性別、病型については、バランスを考えて構成する方が運営しやすいといわれています。スタッフは2人くらいがのぞましいと思われます。グループリーダーはグループ力動を理解しつつ、グループという環境を維持することが重要です。
グループ療法の適否
拒食症で体重減少が著明な場合はグループ療法には適さないといわれています。ある程度体重の回復を図った上で行うことが望ましいと思われます。また、衝動行為や問題行動が激しい場合は、グループメンバーへの影響を考えた上で、参加を検討することが必要です。ただ、問題行動をコントロールするためのグループ療法といったものもあります。回復への動機づけができていない場合は、その治療効果も不十分です。まずは動機づけを図るアプローチが必要になってきます。 |