認知行動療法とは、日常場面の困りごとに対して、ガイド役の治療者との共同作業で変化に向けて取り組む心理療法です。「食行動」の問題と「気持ち」や「考え方」の癖、「身体の調子」の問題が維持されている仕組みを明らかにし、「食べることがやめられない」、「体重が気になって食べられない」といった行動を改善し、毎日をよりよく過ごすことを目標とします。はじめに、困りごとの優先順位や約束事、治療の回数を話し合い、ホームワークを用いて治療に取り組みます。
どのような摂食障害患者さんに役立つか
1980年代に、Fairburnは認知行動療法が過食症、むちゃ食い障害に有効であることを明らかにしました。さらに、集団認知行動療法、ガイドによるセルフヘルプ認知行動療法などの有効性も明らかにされています。
過食症患者さんは体型や体重へこだわりのために、厳しい食事制限にとらわれ、食べたいという持続的な生理的プレッシャーをうけており、その結果過食が生じます。こうした悪循環は、完全主義、不快気分への対処の困難さ、低い自己評価により一層強化されます。
認知行動療法の実際
- 食事や栄養に関する正しい知識を得て、3食規則正しい食事を心がけます。
- 過食や排出行動の引き金と食行動、食べた結果のプラス面、マイナス面について、食事日誌に記録し、食行動の問題と引き金、気持ちや考え方の癖に気付くホームワークを行ないます。
- 「問題解決法」を用いて、日常場面の困りごとの解決策をできるだけ多く思い浮かべ、すべての解決策についてプラス面とマイナス面をあげ、その中から自分に当った解決策を選んで、実行するプランを立て、行動の結果について検証します。
- 体重や体型にとらわれる考え方を別の見方で探索し、不快な気分への対処法を探ります。体重を何度も確認するなどの安全行動によって、ますます不安が高まる悪循環に気付き、行動実験を重ねて、非適応的な行動のパターンの変化を促します。
再発防止に向けて
治療終了後も、認知行動療法で身につけた考え方や気持ちの上手な切り替え方やストレスへの対処法を用いて、再発を防ぐことに役立ちます。
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