この度、第16回日本摂食障害学会学術集会会長を拝命いたしました。非常に光栄に思っております。思い返せば、国府台病院に赴任してから診るようになった摂食障害ですが、診させていただいた患者さんの数もおそらく2000名前後と思われます。一人ひとりがそれぞれに異なる病態を抱えた方々ばかりだった印象が強く、いまだに自信がもてないままに来ているように思います。この間、精神・神経疾患研究委託費による研究班を9年間務めさせていただきまして、我が国の摂食障害の臨床研究のあり方や診療体制の確立へむけてさまざまに勉強させていただきました。また、全国の専門家の先生方と交流させていただき、2005年には「治療ガイドライン」も刊行することができました。臨床医としての私に大きな力と勇気を与えてくれた疾病ともいえる疾患でもあります。
さて、今回の学術集会のテーマを「医療連携の重要さと高齢・遷延化について」といたしました。食習慣の乱れを通して生活機能の全般が障害される本疾患では、その治療には生活機能の改善は欠かせないプロセスです。その意味でも関連する職種が参加した治療連携は非常に重要です。また、様々な病態を合併する本疾患は単一科での治療で治っていくものではなく、その意味での治療連携も重要な治療方略と考えます。特に、我が国のように医師(主治医)の比重が大きく関連職種の治療参加が限定される現状では、上記した治療連携は極めて重要な課題であります。それと患者の高齢化の問題もあります。最近私どもが報告しております高齢患者の社会科学的特徴とのその問題点の指摘や、先日発表しました70歳代の2例報告でもありますように本疾患の高齢化、遷延化の問題についても取り上げたいと考えています。
特別講演には精神分析家の松木邦裕先生にお願いしました。ほかにも教育講演でユング分析家の町沢理子先生をお迎えする予定です。認知行動療法全盛の時代とも思えますが、力動的な視点も改めて見直してみたいと思っての依頼です。また、先ごろ本学会が主導して多くの会員の協力を得て作りあげました最新の治療ガイドラインも、今後の我が国での摂食障害の治療の在り方を示唆する重要なものであり、その編集委員長をされた中井義勝先生に基調講演をお願いしました。
きらびやかとは参りませんが、実際的で役に立つ学術集会にしたいと考えています。たくさんの演題の参加を期待しております。学術集会の活性は一般演題の充実とその数との認識でいます。多くの皆さんの参加を祈念いたしております。